今回観ようと思い立った理由が2つある。1つは平成ガメラ4作品がブルーレイボックスとして発売されること。もう一つがそれを受けてツイッターでクソオタクが、自分がこの作品をいかに嫌っているかを滔々と語りだしてそれにイラついたことにある。
蛇蝎の如く嫌われてしかるべき映画なのかどうか、この目で確かめてみようじゃないか。
観てみたよ。
なんだよこれ…いいじゃないか…何が平成ガメラの汚点だよ…新世代のガメラだよ…
ストーリー解説はしない。ちょっと書いたけど書きたいところがありすぎて無駄に長くなったのでカット。知りたい人は調べてほしい。
私は基本的に子供向け作品は好きじゃない。子供も嫌いだし家族愛とかも大嫌いだ。でもこの作品は違う。この作品は子供をきちんと等身大で描きながらも説教臭くなることもなく、それでいて自然と我々に大切なことを訴えかけるものになっているのだ。
多分、ペットを飼ったことのある人は、主人公の透少年にシンパシーを感じると思う。目の前で孵化した亀をトトと名付けて可愛がっていたら、どうも普通の亀じゃない。一度は海に捨てるもののどこまでもついてくるトトとどうしても別れがたくてまた家に連れて帰ってしまう。この心の動きとか本当によくわかる。そのあと敵怪獣のジーダスとトトが戦って傷付いて、それを見て自分が助けなきゃってなんのためらいもなく助けに行く、その気持ちを考えるだけでちょっと涙腺が緩む。そうだよね、たった数日間だけど生まれた時からずっと一緒に暮らした、親友といっても過言ではない存在が苦しんでたら、それは助けに行くよね。で、それを止めようとする父ちゃんもべたべたしてなくていい。父ちゃんは透少年が大事だし、ガメラ(=トト)が自爆する覚悟を理解しているから止めている。だけど、止め方がべたべたしていなくていい。お前のことが大事なんだとかそういう余計な事言わないのがいい。
一緒にトトを助けに行った石丸兄弟もいい。余計な事言わないっていうか、地元の駅で兄ちゃんが弟に「本当に行くのか?」とただ一言確認し、「うん」と短くも力強く答える、そのやりとりがまさに兄弟っぽくていい。そして名古屋まで助けに行くんだけど、みんな泣き言を言わない。これ本当に大事というか関心したんだけど、もうだめだとかそういうこと言わないんだよね。父ちゃんが止めに来て、お前が助けることでガメラが死ぬんかもしれないんやで的な説得をしたときの「だけどトトはトトなんだよ。まだ卵から孵ったばかりのほんの子供なのに逃げないで戦ってるんだ(意訳)」っていう返しがね。トトが懸命に戦ってるのと相まってぐっとくる。
トトのデザインもいい。というかこの映画の怪獣のデザインめっちゃいい!ジーダスの背びれの棘がかっこいいし、トトは可愛いけど芯の強さがうかがえる。
賛否両論の赤い石リレーもよかったと思う。子供たちが子供にしかわからない何かに導かれて、全く知らない子供同士なのにトトに必要な赤い石を届けるんだけど、そこここで障害が立ちふさがって、でもそのときに別の子供が赤い石を受け取ってトトにまで走っていく。ウルトラマンメビウスのOPじゃないけど、希望を積み重ねて積み重ねてその末にそれが結実するっていう展開に弱い。歳をとったのも相まって泣きそうになる。最後のトトとの別れもよかった。透の「絶対忘れないから。だから飛べ!トト!(意訳)」というエール、それを受け止め最後の力を振り絞り飛んでいくトト。エンドロールが余韻になってじんわりしてしまう。
まぁ、もちろん微妙なところもあった。一つはトトの大きさ。同じ大きさの形態なのに、場面によって縮尺が違くない?ってくらいなんか大きさがバラバラに見えるのだけど…私の錯覚だとは思うのだが。あとは赤い石リレーの最後、透少年がトトに色々語りかけるのだけど、その直前に敵怪獣ジーダスがすでに近くに来ていて身動き取れないトトに攻撃を加えている状況なのだ。そんなべちゃくちゃ喋ってる暇ないだろ!ジーダスもどうしたんだよ!待ってあげてるとか優しいなお前!とツッコミを入れたくなってしまう。
しかし、それ以外は特にもやもやする部分もなく、全体的にはとても楽しめた作品である。好きな怪獣映画に分類されるだろう。確かに好みの別れる作品ではあるだろうが、蛇蝎の如く嫌う作品ではないと思う。まぁ、私の個人的な感想だが。
それにしても、敵怪獣のジーダスは…。トカゲっぽい外見に、背びれが…首周りにエリマキトカゲみたいな膜がある…。トカゲだったときもあり、エリマキトカゲっぽい膜を首に巻いていたときもあった…もしやジーダスは…いや、まさかね。
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